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「ZOZO組織再編」変化の中で、組織開発チームが目指す進化の方向性

ZOZO DEVELOPERS BLOG

こんにちは、ZOZO組織開発ブロックの指原(@sashihara_jp)です。
 
この記事では2021年10月にZOZOテクノロジーズとZOZOが組織再編するという大きな変化の中で、組織開発担当者の視点から、どのようにその変化に向き合ってきたのか、これから何をしていこうとしているのかを紹介します。
 
ZOZOテクノロジーズの中で組織開発チームができた経緯については2021年2月の記事に詳細に書いています。


 組織再編(吸収分割)について

まず、ZOZOテクノロジーズとZOZOが組織再編した理由から説明します。

再編前、ZOZOテクノロジーズはZOZOの100%子会社として存在していました。ZOZOはZOZOTOWNを運営するために必要なブランド営業・マーケティング・カスタマーサポート・物流まわりなどのスタッフが在籍し、ZOZOテクノロジーズはシステム開発をするために必要なスタッフ、エンジニア・デザイナー・リサーチャーなどが在籍していました。

ZOZOテクノロジーズ(旧スタートトゥデイ工務店)は2015年に、グループ各社に散らばっていたエンジニア・デザイナーを集約し、ノウハウ共有、技術向上、採用強化などを目的として誕生しました。

設立から6年が経ち、エンジニア・デザイナーの数も当初の5倍近くになり、ある程度目的が果たされてきた一方、会社が分かれていることによる課題も目立ってくるようになりました。

組織再編前のグループ組織課題

  • 縦の課題:上位戦略の浸透不足
    ZOZOテクノロジーズ単体で400人規模になってきており、組織の規模が大きくなるにつれ、ZOZOグループ全体で目指している上位戦略が現場に伝わりにくくなってきていました。

  • 横の課題:開発スピード停滞への懸念
    ZOZOテクノロジーズの発足前、まだ組織が小規模だった頃は社員みんなが顔見知りでコミュニケーション機会が多い組織でしたが、組織が大きくなるにつれて徐々に、親会社が企画したものを子会社へ開発依頼するような「ある種の受託関係のような状態」のように感じる社員も増えてきていました。より多くの開発案件を迅速に進めるためには、意思疎通や優先順位決定にかける時間を短縮していく必要がありました。

会社を分けたことによりテックカンパニーとして大きく前進できましたが、新たに見えてきた上記のような課題の解消を図り、双方の連携をより強固にし、事業のさらなる高速化によるサービスレベルの向上と、ZOZOグループの価値向上をめざしていくことになったというのが再編の主な理由となります。

組織再編の際には「高速前進」と「BizDevOps」という2つの象徴的なキーワードが掲げられました。ZOZOが担っていたビジネス領域とZOZOテクノロジーズが担っていた技術・デザイン領域を組織的・文化的にも融合していくことで、より効率的でスピード感のあるプロダクト開発、サービス提供ができるような体制にしていこうという意味です。


組織再編後の組織課題

しかし、単に会社を再編しただけで、「高速前進」「BizDevOps」が実現したかというとそう簡単ではありませんでした。会社は再編されましたがそこにはいくつかのさらなる課題がありました。

  • 人事制度が異なる
    元々1つの会社であった両社ですが、分かれていた6年の間に各社ごとの人事制度(等級、報酬、評価、働き方、福利厚生)を設けている状況でした。

  • 部署統合、異動が難しい
    人事制度が異なるため、たとえばビジネス領域とエンジニア・デザイナー領域を統括する2つの部署を統合して事業部体制を作ろうとしても、「誰が誰をどうやって評価するのか」などといった問題が発生します。それゆえに会社は1つになったものの、元々それぞれの会社にあった本部が横に並んでいるだけという状態でした。

  • コミュニケーション促進がしづらい状態
    組織構造が再編前と変わっていない、かつ社会情勢もあり基本オンラインで仕事をするため、普段関わる人以外とは新たな人間関係が生まれにくく、変化が少なかったため当初理想としていた程の一体感が生まれていない状態でした。

以上のような課題があったので、組織は再編したものの、その効果が最大限発揮されているとは言い難い状態でした。

組織開発チームの打ち手

上記のような会社統合後の組織課題があり、一社員の立場から見える会社の課題は「コミュニケーション不足」のように思えます。実際に、私たちにも「現場のコミュニケーション課題解消」を訴える声も多く届いていました。

氷山モデル

ここで1つ、組織開発でよく使う「氷山モデル」という考え方を紹介します。
「氷山モデル」とは下記図のように表面的に現れている事象を深掘りすると必ず別の真因があり、真因に近い程見えづらいが解決時のインパクトが大きいということを表すモデルです。

この氷山モデルに照らし合わせて今起きていることを分析してみました。

つまり、さきほど説明したように社員から見える直接的な課題は「コミュニケーション不足」ですが、理由を突き詰めていくと「人事制度が異なる」ことが、見えていない真因である可能性が高いということが考えられます。
このように組織課題やチームビルディングを考える際には表面的に見えている課題から真因を深掘りして考える必要があります。

GRPI

また、もう1つ組織開発でよく使う「GRPI(グリッピー)」というモデルを紹介します。

GRPIとは「Goal」「Role」「Process」「Interaction」の頭文字をとった名前で、この4つの要素を以下のような三角形で表したモデルです。

そして大事なのは、組織課題を解決するために「上から順番に取り組んでいくこと」が必要だというところです。1番下にあるInteration(関係性)に含まれるコミュニケーションは組織にとって大事ではあるのですが、コミュニケーション改善だけを優先するとうまく進まないということがこのモデルでは示唆されています。

  • 「Goal(目的)」
    目指す「ゴール、目的」を明確にする
    企業理念、経営戦略

  • 「Role(役割)」
    役割分担を明確にする
    等級・役職定義、目標管理など

  • 「Process(段取り、達成方法)」
    目標を達成するための手順を決定する
    開発プロセス改善など

  • 「Interaction(人間関係)」
    「関係性」を良くする
    コミュニケーションを増やす

そこで私たちもGRPIの上から順に取り組んでいくことにしました。

GRPIのG:Goal

まず、会社として最上位Goalである達成すべき「企業理念」は「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」であり、ここについては別々の会社に分かれている間も同じ理念を志していました。

また、「企業理念」達成へ向けた「経営戦略」についても「MORE FASHION × FASHION TECH」という両社同じものを掲げ、目指すべき方向性は一致している状態でした。

さらに創業25年目を迎えた2022年5月には、「経営戦略」に「ワクワクできる『似合う』を届ける」を追加しました。

※「ワクワクできる『似合う』を届ける」とは・・・今後、会社・事業ともにさらに成長し、より多くのお客様に笑顔を届けていくためには、「服」を届けるだけでなく、服を買う前の発見から服を買った後の感動までの一連の体験を提供し、「似合う」を届けることが必要だと考え、「似合う」を探求していこうという経営戦略です。

GRPIのR:Role

次にRoleですが、人事制度(等級、報酬、評価、働き方、福利厚生)が異なるため、組織開発部門としてはまずここから着手することにしました。

具体的にはZOZO社からは人事部門の担当者、ZOZOテクノロジーズからは組織開発部門が参加する「統一人事制度PJ」を発足させました。

この「統一人事制度PJ」は現在進行形で、経営陣と共に「目指すべき組織像、人材像」から再定義し、ZOZOの5年後10年後を見据えた人事制度を作っていこうとしています。

※制度設計だけがRoleの唯一の手段というわけではなく「育成」「配置転換」など各社のフェーズにより取るべき打ち手は異なります。

GRPIのP:Process

Roleでは主に制度というハード面からのアプローチでしたが、仕事の進め方の研修や勉強会といったことも企画、実施してきました。

Processの打ち手1:マネジメント勉強会

マネジメント勉強会とはZOZOテクノロジーズ時代の2019年頃から開催してきた有志によるマネージャー同士の学びを深める勉強会です。組織再編後も1〜2か月に1度のペースで開催し、これまでにトータルで21回実施してきました。

組織再編後の変化としては、参加者も運営メンバーもZOZO、ZOZOテクノロジーズ両社の出身者が半々という状態になっており、マネージャー同士の横のつながり作りに繋がっています。

また、参加者を増やす工夫として昨年度から「エンタメ要素」を加えるようにしており、たとえば下記のようなタイトルで開催してきました。

  • 『オーシャンズ11』から学ぶ「良いチームの条件」とは

  • 『宇宙兄弟』「完璧なリーダー」は、もういらない。から学ぶリーダー論

  • 『キングダム』で学ぶ乱世のリーダーシップ

  • 『プラダを着た悪魔』から学ぶ仕事と家庭、キャリアとマネジメント

「エンタメ要素」は親しみやすい題材を扱うことで、参加者の興味を引き参加のハードルを下げ、コミュニケーションしやすい状況を生み、結果的に会社全体のマネジメント基礎力の底上げにも繋がっていると感じています。

Processの打ち手2:研修

マネジメント層を中心に各種研修も人事部門と一緒に企画、実施してきました。

  • 1on1研修
    管理職向けに1on1を効果的に実施するためのワーク中心の研修

  • マネジメントワークショップ
    新任管理職にマネジメントの基礎を学んでもらうディスカッション中心の研修

  • 本部長コミュニケーション会
    本部長同士で会社の課題や未来についてディスカッションする会

これらはその内容もさることながら出身会社の枠を超えて管理職同士で議論すること自体が貴重で勉強になったという声が多く好評です。

GRPIのI:Interaction

上記のProcessで、すでにコミュニケーション活性化にも繋がっている部分が大いにありました。特定の施策による特定の効果だけがあるわけではないということがわかると思いますが、ストレートにコミュニケーションを第一の目的としたような施策も実施しました。

Interactionの打ち手:もっと仲良くなる会

ZOZOTOWNの開発に関わる主要4本部である

  • ZOZOTOWN開発本部

  • 技術本部

  • マーケティング本部

  • ブランド営業本部

これらの部署がお互いの組織構造・役割・人員・業務内容などをあまり詳しく知らないという課題がありました。
そこで「まずはお互いの本部、部、ブロック(課)の紹介をしよう」というディレクター職以上参加必須の会を実施しました。1つのプロダクトを作っている本部同士なのに、そもそもハジメマシテな人たちも多いということがあったので、初歩の初歩としてまずは自己紹介をしたということです。
この会はその後、お互いの仕事のやり方をもっと良くできないかということを話し合うための分科会に発展し、GRPIのProcess改善にも繋がる施策となりました。

組織は「フラクタル構造」になっている

このような取り組みをしていく中で気付いたことがあります。
 
組織開発用語で「組織はフラクタル構造」という言葉があります。「フラクタル構造」とは「自己相似性」という特殊な性質を有する幾何学的構造のことをいい、より具体的には「図形の全体をいくつかの部分に分解していった時に全体と同じ形が再現されていく構造」のことです。
 
もっと簡単に言うと「組織の一部で起きている状況や関係性はだいたい他の場所でも同じようなことが起きているし、似たような関係性がある」ということです。たとえば上述の「もっと仲良くなる会」で起きていたことは「1つのプロダクトを運営しているのにハジメマシテの人が多い」「ある部署の人は他の部署のことをよく知っているというが、他の部署の人はそうでもない」というようなことだったのですが、このような人間関係の状況だったり、情報の非対称性のようなことがいたるところで起きていたのです。
 
つまり会社全体で起きていることを知りたい時に、特定の小さな会議や関係性に着目すると実はだいたい同じようなことがいたるところで起きているはずと推測できるという考え方です。
 
とくに今のような会社統合という組織上の「大きなうねり」が生まれている中ではフラクタル構造は起きやすいと思っています。会社の状況を把握したり、打ち手を考える上で大事な考え方になってくると感じています。

組織開発とは

そんなうねりの中、組織開発の仕事とは何かを自分なりに考えてきましたが、私は「人や組織のアウェアネスをあげる」ことだと定義しています。
 
「アウェアネス」とは「意識や気付き」という意味ですが、組織に所属する人が「お互いの状況、背景に共感」し「立場や痛みを理解して行動が変わる」ように促す、そのための「気付き」を自然に得られるような仕掛けをするということです。

人や組織の「アウェアネス」を上げるために以下のようなサイクルを実施します。

  1. 事実の確認「見立てと観察」

  2. 課題を氷山モデルで分析

  3. GRPIで優先順位の整理

  4. 打ち手を働きかける

その結果、社員一人ひとり、組織の「視野が広がり」「視座が上がる」という変化が起きていき、その変化がフラクタル構造で全社に広がっていく、それが組織開発だと思っています。

組織開発チームが目指すこと

私たちがやりたいことは「組織変革」ではありません。「組織変革」とは「変える側」と「変えられる側」の構図です。「組織変革」をやるのは「経営」や「人事」であることが多いですが、「変えられる側」である現場の多様な声がとりこぼされてしまいます。

一般的に組織開発とは「みんなで一緒に変わる」ことを目指して、対話を中心として「みんなが変化の主体」となるアプローチのことを指しますが、私たちはさらに先にあると言われている「全員がリーダーシップを発揮して変化を起こす主体」である「組織進化」を目指したいと考えています。

組織の融合という面でも「相手が自分たちのことを理解してくれない」と考えるのではなく、お互いがリーダーシップを発揮して変化を起こす主体となっていくことでこそ、本当の意味での「BizDevOps」が実現していくはずです。

組織開発チームは「人や組織のアウェアネス」を引き上げた結果、全員が強いリーダーシップを発揮する組織、会社を創っていきたいと考えています。

最後に

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