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業務遂行に不可欠な基幹システム。歴史あるシステムをモダンな技術で置き換えるエンジニアの喜びとは

2004年のサービス立ち上げ以来、成長が続くZOZOTOWN。現在、ZOZOTOWNのさらなる成長を後押ししようと、基幹業務システムのリプレイスプロジェクトが動いています。
年間5,088 億円を超える商品を扱うZOZOTOWNの物流拠点「ZOZOBASE」の安定運用と効率化を目指して2022年初頭に火蓋が切られた基幹業務システムの刷新によってZOZOTOWNはどう変わるのか。その最前線に立つ2人のエンジニアに話を聞きました。

【プロフィール】
矢部 佑磨(基幹システム本部 基幹リプレイスブロック ブロック長 / 2019年中途入社)基幹システムの開発・運用に従事しつつ、2021年頃から徐々に基幹リプレイスの設計に携わる。2022年8月に基幹リプレイスブロックが新設されたタイミングで異動。現在は基幹リプレイスの設計・マネジメントを担当。趣味は格闘技観戦、マンガ、YouTube鑑賞。

岡本 拓実(基幹システム本部 基幹リプレイスブロック /  2020年新卒入社)ファッションドメインへの強い興味から入社し、基幹システムの開発・運用に従事。2022年に現ブロックへ移動。現在は基幹リプレイスの第一弾である発送システムのリプレイス設計・実装を担当。趣味は古着・古道具の収集。

創業以来、使い続けた基幹システムを5年がかりで刷新

——「基幹リプレイスブロック」のミッションを教えてください。

矢部:基幹システムのリプレイスプロジェクトが走り出したのは、2022の年明けすぐのことで、その年の8月に当プロジェクトを専任で実行する「基幹リプレイスブロック」が新設されました。このブロックのミッションは、文字通り業務を動かすのに必要な、物流管理、販売管理、受発注管理、財務・会計管理などを含む、基幹業務システムを5年がかりでリプレイスするというもの。2004年の創業以来、「増改築」を重ねながら使い続けてきた基幹システムをマイクロサービス化しクラウドに移すという大規模な改修です。プロジェクト期間は全体でおよそ5年に及び、現在はその第一弾として物流管理システムのリプレイスに挑んでいます。

ZOZOの物流拠点「ZOZOBASE」
お客様へ届けられるデリバリーボックス(通称「ZOZO箱」)

——そもそもなぜいま、基幹システムをリプレイスする必要があるのでしょうか?

矢部:理由は大きく3つあります。今後さらに増えることが予想される入荷・出荷量に対応するためのスケールアップと、マイクロサービス化による基幹システムの安定稼働、そしてもう一つがサービス内容のアップデート頻度を高め、業務改善のサイクルを高速に回す体制を整えるためです。

——具体的にはどのような改修が行われるのですか?

矢部:現在、ZOZOの基幹業務は、創業以来「増改築」を重ねたモノリシックなアーキテクチャによる基幹システムで運営されています。たとえば物流業務に直接関係のない部分で障害が発生した場合、適切なデータ処理が行えなくなり、入荷・出荷業務が滞る可能性を否定できません。またシステムの巨大さゆえに、一部のソフトウェアに手を入れるにしても、これまではどこまで影響が及ぶのか見極めるだけで、膨大な手間と時間を費やす必要がありました。

今回のリプレイスプロジェクトは、こうした課題を克服するとともに、お客様が注文された商品が赤い箱で届いたら実質無料になるキャンペーンのような、物流が密接にからんだビジネス企画をスピーディーに実現したり、繁忙期にだけ一時的にサーバの処理能力を高めたりするような、ZOZOTOWNの成長と新たな施策に対応するために実施するものです。

——世間には、さまざまな業務に対応する基幹業務システムが存在します。あえてそれを選ばず自社開発する理由は?

矢部:そもそもZOZOはサービス黎明期から自社システムを自社開発しながらサービスを大きく成長させてきました。既成のパッケージ製品にも優れた製品はありますし、開発コストがかからないぶん効率的だと評価できる面もありますが、既成製品ゆえ制約が多いのも確かです。多少手間がかかっても自社開発にこだわっているのは、仕様の制約に阻まれ、これまでの常識を越えるビジネスアイデアが実現できない事態を避けるため。

そもそもZOZOには、できることは何でも自分たちの手でやってみようという「DIY精神」に溢れるカルチャーがあり、だからこそ社員の多くは、ZOZOらしさを表現できているという自負があります。あくまで自由な発想を大事にしながら優れたサービス提供を目指しているんです。こういった背景があり、サービスの根幹を担う基幹システムを内製化しています。

歴史ある巨大で複雑な基幹システムをいかにして更新するか?

——お2人はそれぞれどのような役割を担っているのですか?

矢部:私は、基幹リプレイスブロックのチームリーダーとして、システムの構想や設計、プロジェクトの進捗管理などマネジメント業務を担当しており、岡本はエンジニアとして物流リプレイスの開発を担当しています。

岡本:私がいま取り組んでいるのは、2023年の夏に運用開始予定の「単数発送システム(※)」の開発です。その後、3年ほど時間を費やし単数発送以外の発送形態や入荷を含めた物流全体のリプレイスを完了させ、その後は2年ほどで販売管理、受発注管理、財務・会計管理など、物流管理以外のリプレイスに取り組むことになっています。

(※)一点のみのご注文商品を発送するシステム

——基幹システムリプレイスの難しさは、どこに感じますか?

矢部:一番重要なのは、データの整合性をいかに保つかでしょうね。複数のサービス間でデータの参照や更新が頻繁に行われるので、データの切り出し方一つとっても複数の選択肢からベストを探さなければなりません。緻密に編み上げられた編み物のような業務フローを解きほぐし、さらに効率的な処理が求められる点に大きな難しさを感じます。

岡本:業務理解の難しさも感じます。そもそも、私たち基幹リプレイスブロックのメンバーは、物流の専門家ではありません。外部から知見を得ようと思っても、基幹システムに関する技術情報や物流の他社事例は、Webやアプリ領域などと比べて流通する情報量が少なく、苦労することも多いのが実情です。

そのため、活用技術やアーキテクチャについては弊社の技術顧問からの助言や、業界の著名人や有識者から情報をキャッチアップし、業務理解という点については、物流システムを稼働初期から開発・運用しているエンジニアや物流拠点のオペレーション責任者と密に連携を取ることで、技術・業務両面の理解を深めながら進めています。私たちが基幹物流リプレイスに取り組めるのは、現場を支える皆さんの協力があってこそのものなのは間違いありません。


ZOZOBASEで働くスタッフたち

——どんな点に仕事の面白さ、やりがいを感じますか?

矢部:私たちが携わっているのは、ZOZOTOWNの物流の未来を切り拓く仕事です。技術的制約を乗り越え、1日あたり平均30万ピース以上、多いときには50万ピースにも上る商品出荷数を捌き、業界に先駆けた先進的な取り組みをいち早く実現してきたレガシーなシステムをモダンな技術で置き換えるのですから、プレッシャーを感じないわけではありません。しかし難易度の高さと仕事のやりがいは表裏一体。こうした意義ある仕事に携われること自体に面白さとやりがいを感じます。

岡本:基幹リプレイスブロックに配属されるまでは、基幹システムと外部システムのデータ連携やそれに伴う開発に携わっていました。それがいまはコードを書くだけに留まらず、システムのアーキテクチャ設計の議論にも関わっています。業務知識をキャッチアップしながら、複雑で巨大なシステムと向き合うのは容易ではありませんが、入社3年目にしてこうした責任ある仕事に携われるのは本当にラッキーなこと。私自身、すばらしい成長機会をいただいたと感じています。

大規模リプレイスに携われる貴重な機会。ZOZOの成長に貢献できる仕事

——基幹リプレイスの今後について、またご自身のキャリアの展望を聞かせてください
矢部:今回の基幹リプレイスプロジェクトの遂行に欠かせない知見や技術に通じたエンジニアの数は、まだ十分とは言えません。2024年に物流システムのリプレイスが終了した後も基幹リプレイスプロジェクトは2年ほど続きます。基幹リプレイスブロックを率いる立場としては、リファクタリングのスピードと精度を上げるためにも、ZOZOにとって持続可能な成長を実現するためにも、エンジニアの採用とメンバーの力を最大化するチームビルディングに力を入れていかなければと感じています。

岡本:まずは、いま取り組んでいる単数発送システムを完成させ、無事、運用段階に移行させることが当面の目標です。新しいシステムに移行したことによって、負荷の高い運用作業が減り、関係するすべての人が、本質的な価値の創造に時間を費やせるようになったと思ってもらえるような仕事を残したいと思っています。将来的には、たとえばファッションブランドの在庫リスクゼロを目指す生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO」のような、アパレル業界を革新するような取り組みにテクノロジーで貢献してみたいという気持ちもあります。自分の将来につながる新たなチャンスを得るためにも、今後も基幹リプレイスブロックで頑張るつもりです。

——どんなエンジニアと働きたいですか? ZOZOにジョインしてほしい方について聞かせてください。

矢部:物流システムに関しては、開発言語がVBScriptからJavaに置き換わるため、Javaに長けたエンジニアも必要ですし、システム環境をオンプレミスからクラウドに移行するためAWSに通じたエンジニアも必要です。しかし一番大事にしているのは、ZOZOTOWNというプロダクトが好きで技術の力でより良くしたいと思っていただける方であることです。

ZOZOは、岡本のようにZOZOTOWNに愛着を持ったエンジニアが多く在籍しており、このような社員の力によって日々成長を続けています。またZOZOTOWNほどの大規模なシステムのリプレイスに携われるチャンスはそう多くありません。自社サービス開発で自分の技術力や情熱を注ぎ込みたいという方、そんな方にぜひお会いしたいですね。

岡本:例えば学生のように業務での開発経験がないエンジニアにとって、基幹システムのような普段は触れることの少ないシステムの開発に取り組む面白さは馴染みがないかもしれません。でも、これほどまでに業務に深く入り込み、複雑極まりない業務知識をかみ砕いて理解し、技術の力で課題解決する醍醐味は他の技術領域ではなかなか味わえないのではないでしょうか。

とりわけ今回の基幹リプレイスプロジェクトは、技術力と業務知識が求められる難易度の高い仕事です。具体と抽象を行き来しながら本質を割り出していくような思考が求められるため、知的好奇心が強い方にとって、またとない経験が得られるはず。私自身、この点に大きな魅力を感じているので、志を同じくするエンジニアと一緒に働けたらうれしく思います。

(左:基幹システム本部 基幹リプレイスブロック ブロック長 矢部、右:同ブロック 岡本)

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