「WEAR」の新機能「髪型別コーデ検索」。ZOZO研究所がこの機能に込めた熱い思いとは?
4月7日(火)、ZOZOテクノロジーズが運営するファッションコーディネートサービス「WEAR(ウェア)」に、新しい検索機能がプラスされました。
ロング・ミディアム・ボブ・ショート・ポニーテール・おだんごという6つのカテゴリーから髪型を選ぶことで、該当の髪型をした人のコーディネートが閲覧できる髪型別コーデ検索です。この制作には、「ZOZO研究所 福岡」のファッションを愛するエンジニアによる「自分が最初のユーザーになりたい」という純粋なニーズと熱い思いがありました。
プロフィール(写真左から)
齋藤春奈:2019年ZOZOテクノロジーズ新卒入社。現在はWEARのプロダクトマネージャー(PM)を担当。過去にFashionTechNewsの中国関連記事のライターなども担当。
平川稚菜美:大学では表情認識を専攻。組み込み系ソフトウェア開発、iOSアプリ開発を経て、2018年の合併により株式会社スタートトゥデイテクノロジーズ(現ZOZOテクノロジーズ)へ転属。現在はZOZO研究所 福岡にて機械学習エンジニアを担当。
中尾弘:長年フリーランスのプログラマーとしてWEB系アプリケーション開発。2018年に株式会社スタートトゥデイテクノロジーズ(現ZOZOテクノロジーズ)入社、福岡研究所に配属。現在はZOZO研究所 福岡の開発エンジニアリーダーとして機械学習エンジンを組み込んだアプリケーションの開発やサーバサイド構築に従事。
女性の8割は、髪型と似合う服の関連が気になる
ー WEARに新しい検索機能が加わったそうですね。
齋藤:はい、髪型からコーディネートが検索できる新機能「髪型別コーデ検索」の提供を4月7日(火)より開始しました。
ー このサービスの使い方を教えてください。
齋藤:WEARのWEB版の一番下のフッターにある髪型別コーデ検索をタップします。そこから髪型別コーデ検索のページに行き、ロング・ミディアム・ボブ・ショート・ポニーテール・おだんごという6つのカテゴリーから髪型を選ぶと、該当の髪型をした人のコーディネートが閲覧できます。
ー この髪型別コーデ検索サービスを始めたきっかけを教えていただけますか。
齋藤:ユーザー体験の向上、回遊率アップのために、機能の拡充や検索精度の向上を目的に導入しました。もともとWEARでは、ブランドやアイテムでの検索機能に加え、髪型での検索も可能なのですが、ユーザー自身がプロフィール設定時に登録した情報に紐付いているため、検索結果の精度を向上させる必要がありました。
また、特に女性は、私自身も実際そうですが、髪型を変えると似合う服が変わったり、「新しいファッションに挑戦してみたい」と思うことがあります。実際に当社調べでは、20〜35歳の女性のうち約75%が髪型を変えた時に「どういうコーディネートがいいのか」や「似合うのか」と調べることがわかりました。そこで、他社にはない髪型での検索を導入しようと進めてきたのです。
ー 投稿されたユーザーの髪型をAIで自動的に判定し、髪型別にコーディネートを並べてみようと考えた、ということですね。
齋藤:はい。ZOZO研究所 福岡で既に髪型でのマッピングを研究されているということを聞いていたので、ユーザーのニーズと技術的な部分を合わせて、WEARに導入できないかと考えたわけです。
このサービスを製品化した「ZOZO研究所 福岡」とは?
ー 福岡の研究所で制作されたと聞きました。
中尾:はい、この研究は「ZOZO研究所 福岡」でサービス化いたしました。福岡の研究所はもともと九州工業大学発のベンチャーがベースになっていて、機械学習アルゴリズムの開発や大規模データ解析の領域において高い知見を有した開発チームを擁しています。そのなかでも僕らのチームは、特にWEARと強い連携を組んで研究しています。今回リリースされた髪型別コーデ検索の他にも様々な研究に取り組んでいます。
ー 今回の髪型別コーデ検索には、どんな技術が使われているんでしょうか。
平川:ベースになっているのは、AIによる画像認識技術です。まず最初に、全身が映っているスナップから顔周りの検出を行っています。顔と髪の毛全体が写っている部分を切り取るという工程です。
2つ目は、最初に取得した顔まわりの画像から髪の毛だけの領域を抽出するセグメンテーション技術が使われています。そして3つ目に、頭部姿勢推定という、1番最初に抽出した顔周りの画像から、顔がどの方向を向いているのかを推定する工程を行なっています。
最後に、それらの抽出した髪の毛の領域と視線のデータを、自己組織化写像マップという技術を使用して2次元のヘアスタイルマップというものに落とし込みます。大まかな技術としてはこの4点になっています。
ー 髪型を判定するのは難しそうですね。
平川:1番難しかったのは、正面を向いている人が、ショートヘアなのかポニーテールなのかを判断することです。髪の毛を結んでいたりすると、前から見えないじゃないですか。それを解決するために、視線の角度の分析を工程に加えて開発を進めていきました。「顔が横に向いた時には髪型はショートなのかポニーテールなのかはわかるよね」ということです。
ー 着想から製品化まで、どのくらいのスケジュールで進んだんでしょうか?
中尾:平川の髪型検索の研究が8か月程度、プロジェクトが動き出して製品になるまでが大体半年程度。合わせて1年2か月ほどですね。
このデータは、ファッションの理にかなっているのか?
ー この技術をファッションと結びつけるために、AIとファッションと両方の知識がある人がいないと難しいと思うのですが、そのあたりの繋ぎ目は平川さんが担当したということでしょうか?
平川:そうですね。研究所でも結構そこは課題になっていて、AI関連に明るくても、持っているデータとファッションをどうやって結びつけるかわからないというのがあるので、プロジェクト・AI推進部の方々と協力して、この辺の課題を解決していこうとしています。
中尾:エンジニアは、「このデータとこのデータを繋げ合わせたらこういう結果が出るだろう」というのは分かるんですけど、そのブランドがカジュアルかビジネス向けなのかハイブランドかプチプラなのかなどの判断はできないので、出た結果が本当にファッション的に理にかなったデータの組み合わせなのかどうなのかっていうところは常に議論になりますね。
ー 研究を最終的にサービスに落とし込むときに、気をつけた点はありますか?
平川:WEARのサービスに何が必要なのかって、実際自分で体験していないとわからないと思うんです。私自身、髪型や髪の色が頻繁に変わったりして、日頃から洋服と髪型の組み合わせに関して悩みを持っていました。ですので「自分の悩みを自分で解決してみる」と考えるのが一番手っ取り早かったのかな。
ー 研究をサービスとしてリリースすることへのこだわりはありますでしょうか。
中尾:どうしても僕らって研究者ではあるので、手段が目的になりがちではあるんですよね。どうにかしてこの技術を何らかの形で世に出したい、ということで、手段が目的化してしまうと、本当のニーズとアンマッチしてしまう可能性があります。僕らとしては、必ず研究したものは、ニーズとマッチした良い形で出すというところにこだわりたいなと思っていますね。
ー ニーズというのは、さっき平川さんがおっしゃった、自分の悩みを解決したいな、みたいなことからでもいいってことですよね。
中尾:そうですね。研究において、「感性やファッションについて長けてるメンバーの要望や疑問を解決するするために技術がある」というところを忘れてはいけないと思ってます。
WEARを「なりたい自分を見つける場所」にするために
ー WEARを今後どんなサービスに展開していきたいと考えていますか?
齋藤:WEARの1つの目的として、「なりたい自分を見つける場所」と考えています。WEARには、一般ユーザーとショップスタッフ、そしてWEARISTA(ウェアリスタ)というおしゃれで影響力のあるファッショニスタとしてWEARが認定したユーザーがいらっしゃるので、それぞれのニーズに合ったサービスを展開し、サポートできる場になればいいなと思っています。
特に一般ユーザーでいうと、「ファッションに自信がない」とか「もっとおしゃれになりたい」みたいな方も多いと思っているので、こういったAIによる髪型検索やコーデ提案など、さまざまな切り口での検索の拡充で、新たなファッションの発見や学びの場になるようなサービスになればと思っています。
最後に
※本記事は、国内外のファッション×テクノロジーのニュースを、ZOZOテクノロジーズが独自の視点で発信するオウンドメディアZOZO Fashion Tech Newsから抜粋したものです。全文は、こちらからご覧いただけます。
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