【対談レポート】Think wilder!ZOZOグループAI推進に向けて、元アマゾン チーフサイエンティストからのアドバイス。
こんにちは、ZOZOテクノロジーズのVP of AI driven business野口です。
「Think wilder(もっとワイルドに発想せよ)」
私たちが所属するZOZOテクノロジーズのAI・プロジェクト推進部と、弊社データサイエンス アドバイザーに就任したアンドレアス・ワイガンドとのセッションはこの一言から始まりました。予期もしないアンドレアスからのこの強い一言によって、会議室の空気が一気に変わります。そして、用意していたアジェンダとは異なる、このビッグテーマから始まったこのセッションは、参加者にとって度肝を抜かれる内容となります。
アンドレアスはこう続けます。「もし君がどんなAIでも手に入れられるとしたら、何が欲しい?どんな条件でも叶う前提でワイルドに発想してみて。一分あげるからお互いにノートに書いてみようよ」。そして、アンドレアスも本気で考え始め、いくつかのアイデアを彼のノートに書いていきます。参加者である私たちもアイデアを絞り出してみます。
はじめに私たちから出したアイデアは、「世の中の服の不良在庫をゼロにしたい。そのために超高精度な需要予測AIを作る。短期もそうだし長期の顧客の欲しがるものを的確に当てて、生産からコントロールして不良在庫をゼロにするAIを作りたい」というものでした。アンドレアスは、こう言います。「それもいいね。でももっともっとワイルドに考えて。あと、1分あげるから」
ここで私たちは、AI利用において既成概念を取り払えない状態でしかアイデアを出せていないことにハッとし、再度アイデアを考えていると、アンドレアスがこう言います。「例えば僕のアイデアはこう。~~~(詳しい内容は公開できませんが、彼の生活者として感じている不便をAIが見事に、かつワイルドに解決してくれる素晴らしいアイデアをスラスラと述べていきました)」。
僕らも負けじと、よりワイルドなアイデアを発案し応戦します。「例えばこういったAIはどうでしょうか?~~~(こちらも詳しい中身は公開できませんが、そもそも人間にとってファッションってなんだ?ということに迫まれた案?を出せたように思います)」と勇気を出して出してみると、アンドレアスはこう続けます。「おお!いいね。それってこういうことで、こんな展開ができるようね。なるほどこうなって、結果こうなるんだよね。(詳細言えずですみません)」このようなやり取りを数回繰り返し、かつ中国やヨーロッパの実施の最新の研究・実装事例を交えて、それらのアイデアが決して絵面ごとではなく近い概念での研究があることも示唆してくれました。
AI企画のディスカッションの後、アンドレアスへ次の質問を投げかけます。「顧客向けAI、ビジネスクライアント向けAI、従業員向けAIという区分の中で、どのタイプのAIが重要だと思う?」
アンドレアスはこう答えます。「顧客向けのAIは非常に重要だ。でも、すべての対象向けのAIをやるべきだし、そもそもどうして優先度をつけなければいけないの?これは投資コントロールの話だし、時期によって投資量を変えればいいだけの話。それぞれのAIプロジェクトにまずは並列的に投資して、途中結果を観察して、再配分すればいいと思うよ」
また、私たちはこう質問を続けます。「顧客向けAI、ビジネスクライアント向けAI、従業員向けAIの分類に加え、識別系AI、予測系AI、会話系AI、実行系AIという分類を私たちは定義しています。もしZOZOグループで自由にプロジェクトをスタートさせていいとしたら、どのプロジェクトを始めてみたいですか?」
この質問を受け、彼はしっかりと受け止め思考に入ります。「そもそも、AIにはインプットとアウトプットがある。識別系はインプットの一部で、その他テキストでの入力やジェスチャーなどのインプットと並列のものだよね。そして、予測、会話、実行は、それぞれインプットを受けてのアウトプットの役割。私は予測は非常に重要だと思っているし、すべてが予測によって成り立っているとも思う。ただ、ZOZOでAIプロジェクトをやるとしたらという質問に対しては、会話系AIのプロジェクトをやってみたいな。ZOZOTOWNサービスとのやり取り(服選びや注文の処理など)をすべて会話インターフェイスを通じたものにしてみたいな。あとは従業員×実行系AI(ロボディクス)のテーマは最適化を大いにできる取り組みになりそうだね。例えばZOZOBASEとか。」このようにアンドレアスからの熱い回答がありました。
本来の予定時間よりも延長され、大いに盛り上がったAI企画ディスカッションや各種意見交換は、私たちの思考法や思考の限界量の制限を解いてくれた貴重な機会となりました。アンドレアスからのプレゼント、「Think wilder(もっとワイルドに発想せよ)」の言葉を胸に、ZOZOグループ内でのAI活用をよりワイルドに進めていきたいと思います!
VP of AI driven business 兼 AI・プロジェクト推進部 部長 野口 竜司・田村有