【イベントレポート】ZOZO研究所成果共有会まとめ
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【イベントレポート】ZOZO研究所成果共有会まとめ

はじめに

ZOZO研究所ディレクターの松谷(@megumim32529756)です。ZOZO研究所では、Eコマースのサービス向上、バックエンド業務の効率化、次世代の服作りを目指して関連技術の研究開発を進めています。


先日、ZOZO研究所で研究開発が進められている技術が現在どのように使われているか、また今後どのように活用可能かを、社内で広く共有・討論するためのイベントである研究共有会が行いました。
各テーマごとに15分と短い時間ではありますが、機械学習や数理最適化を今後積極的に取り入れたいプロダクトチームとのディスカッションが出来たり、新たなプロジェクトのアイディアに繋がったりと、とても有意義な会となりました。
本記事ではイベントレポートを兼ねて、今回発表があった各テーマについて概要をご紹介します。それぞれの研究・開発内容の詳細に関しては関連リンクも貼っていますので、ぜひ合わせてチェックしていただければと思います。

早速、テーマごとに軽く紹介していければと思います。取り組んでいるチームごとの発表であったため、粒度に関しては少々ばらつきがありますが、どのような取り組みをしているのか本イベントレポートを通してざっくり理解していただければ幸いです。

研究紹介

■サービス改善

①ZOZOTOWN商品詳細面の関連アイテム推薦

ZOZO研究所ではZOZOTOWN商品詳細画面で表示される関連アイテム推薦の開発に取り組んできました。
開発された手法では、システムの規模と推薦の精度を両立するために2
段階の推薦システムである2-stage RecSysを採用しました。提案された2-stage RecSysでは、始めに数百万のコンテンツプールから推薦対象を少量に絞り込み、その後高度なモデルを使ってそれらを精度良く並び替えます。
推薦対象の絞り込みでは出面の特性や他の面への横展開を想定して、Random Walkという手法を採用しました。アルゴリズムがシンプルであり、直感的に出力を制御することもできます。推薦対象の絞り込みまでは実装が完了しており、実際のA/Bテストでは商品詳細レコメンド経由売上の増加を確認しました。

▼参考資料
https://static.googleusercontent.com/media/research.google.com/en//pubs/archive/45530.pdf
https://arxiv.org/abs/1711.07601


②WEARのデータを用いた機械学習による施策提案

WEAR のデータを用いた機械学習のこれまでの取り組みとしては、「髪型別コーデ検索 」「調査リリース」などがあり、以下のように公開されています。

髪型別コーデ検索
https://lab.wear.jp/hairstyle_search
▼WEAR調査リリース
#1 https://corp.zozo.com/news/20200820-11250/
#2 https://corp.zozo.com/news/20200610-10500/
#3 https://corp.zozo.com/news/20201218-12446/

またWEAR投稿時に自動でアイテムの紐付けを行う「アイテムマッピング」という現在取り組んでいる新機能に関する研究開発の紹介もありました。
他にも画像ベースでコーディネートのデータが豊富に集まるWEARでは様々な取り組みや解析を行っています。

③画像検索機能

画像検索チームからは、画像検索機能全般の概要と現在取り組んでいる案件についての発表がありました。以下が現状リリースされている関連機能になります。

▼WEAR類似アイテム検索
https://wear.jp/news/imagesearch/
▼関連プレスリリース
https://press-tech.zozo.com/entry/20190826_zozotown
https://press-tech.zozo.com/entry/20200928_wear

現在は更に、画像検索が対応しているカテゴリーの追加、物体検出の精度向上による機能改善、コスト改善などに取り組んでいます。また商品入稿の際の精度向上による商品検索体験の向上を目指し、AIによる商品自動タグ付けに関するPoCなどにも取り組んでいます。


④検索一般

検索チームでは、ECサイトのコア機能の一つである検索関連の技術のキャッチアップと研究開発をすすめています。現在までの取り組みとして、ZOZOTOWNの検索窓で利用されていた旧来のサジェストを、これまでのブランド名とホットワード検索のアルゴリズムからオートコンプリート*へと変更し、大きな利用効果が得られました。本施策に際しては、指標やABテストについて関連する多数の他チームとの連携を行い、着地点を見据えた取り組みを行いました。
またヤフーとの協働となる、ヤフー検索結果上に表示される独自モジュールの表示については、設計・実装など検索チームと行い、現在は内部で研究所で開発されたサジェスト機能も利用されています。

*過去に入力した文字を記憶し、次に入力される内容を予想して表示する機能


⑤機械学習によるブランド販促

機械学習によるユーザースコアリングを活用し、新規出店したブランドの顧客コミュニケーション施策に役立てる、という取り組みも行っています。GoogleのCloud AutoML Tablesを活用することで、機械学習モデル作成の大部分を自動化し、非エンジニアでも検証したいターゲット変数を設定してモデルを作成できる仕組みを整えました。ハイブランドとの共同マーケティング施策については以下のリンクでも触れています。

▼プレスリリース
https://corp.zozo.com/news/20200526-10404/
▼参考記事
https://www.tsuhanshimbun.com/products/article_detail.php?product_id=5503


⑥オペレーションズ・リサーチ

ZOZO研究所では検索や推薦といった機能開発の他に、様々な技術を用いたバックエンド業務の効率化にも取り組んでいます。未だ小規模ながらオペレーションズ・リサーチのチームもあり、社内の多部署と連携し様々な施策に携わっています。これまでの取り組みとして、下記があります。

1. ZOZOTOWNカスタマーサポートのタスク割当最適化ツールの開発
2. MSP事業のためのシステムフレンドリーなマーキング技術の開発
3. ZOZOBASEに関する最適化の研究開発プロジェクト

今回の発表では概要紹介や技術紹介を行いました。カスタマーサポートでワークフォースマネジメントの一貫として実施している最適なタスク割当てについてはテックブログでも紹介しています。

▼テックブログ
https://techblog.zozo.com/entry/mip-wfm-scheduling


■基礎研究

①関係データ学習

ZOZO研究所では九州工業大学との共同研究も行なっています。
本共同研究ではファッションに関する大規模かつ複雑なデータを潜在変数モデルで表現し、知識発見に活用することを目指しています。
発表では研究内容の説明や研究の進捗状況報告、ZOZOのデータを用いたデモなどを行いました。
共同研究の一部技術については国際学会にてポスター発表も行っています。基盤手法のデモはこちらになります。

▼プレスリリース
https://corp.zozo.com/news/20180926-5698/
▼SCIS&ISIS2018ポスター発表に関してのレポート
https://techblog.zozo.com/entry/scis-isis-2018
▼基盤手法のデモ
http://www.brain.kyutech.ac.jp/~furukawa/tsom-j/



②深層学習×集合マッチングによるコーディネート選択

ZOZO研究所ではファッションコーディネートの推薦や生成の基礎として、深層学習による集合マッチングの技術を研究しています。コーディネートは画像の集合であり、コーディネート間のマッチングを集合マッチングによって実現します。近年、深層学習分野を席巻しているアテンション技術を新たに集合マッチング向けに改良し、学習方法・学習データ作成手段を提案しました。

本研究はECCV 2020でもポスター発表を行っており、詳細についてもテックブログや資料などで紹介しています。また、本手法を具体的にどのようなユースケースに導入し、ユーザー体験の向上に繋げられるかの検証もすすめています。

▼プレスリリース
https://press-tech.zozo.com/entry/20200713_ZOZOResearch_ECCV
▼論文
https://www.ecva.net/papers/eccv_2020/papers_ECCV/papers/123620613.pdf
▼テックブログ
https://techblog.zozo.com/entry/deepsetmatching
▼関連発表資料
https://speakerdeck.com/yukisaito/deep-set-to-set-matching-and-learning


③因果推論機械学習

ZOZO研究所では、イェール大学成田悠輔氏らとの共同プロジェクトとして機械学習に基づいて作られた意思決定の性能をオフライン評価するためのOff-Policy Evaluation(OPE)に関する共同研究とバンディットアルゴリズムの社会実装に取り組んでいます。

また取り組みの一環としてOPEの研究に適した大規模データセットとOSSを公開しています。これらのオープンリソースの詳細は、こちらのブログ記事にまとめています。本取り組みに関する研究成果は、トップ国際会議のワークショップを含む国内外の多くの場でも発表していますのでご興味ある方はぜひチェックしてみてください。

▼プレスリリース
https://press-tech.zozo.com/entry/20191211_zozoreseach
▼大規模データセットとOSS
・データセット: https://research.zozo.com/data.html
・OSS: https://github.com/st-tech/zr-obp
・参考テックブログ: https://techblog.zozo.com/entry/openbanditproject


終わりに

今回は社内に限定したイベントではありましたが各日程たくさんの方に参加いただき、現在行っている取り組みを共有したり、発表後に設けたQ&Aで多部署の課題などを聞くことで、今後に研究成果を繋げていくにあたって非常に有意義な意見交換ができました。

いくつかの理論研究テーマに関しては実際の出面やそこへ向けてのプロトタイプ等のアイディアが会を通して浮かび、実サービス・機能へ繋がる道が見えてきました。実際の埋め込みを考えたときの技術的な難しさなどもやはり課題として残りますが、その点も含め事前に意見交換・意識共有することが重要と再確認しました。

今回ご紹介した内容はZOZO研究所での取り組みの一部であり、この他にも様々な技術の研究開発をすすめています。ZOZO研究所ではよりスムーズで快適な購買体験やビジネス課題の改善に繋がるようなAI技術を目指し、今後も研究開発に取り組んでまいります。

また、ZOZO研究所では外部の研究者を招いての社内講演会なども定期的に主催しています。新たな研究テーマや研究領域の立ち上げや、共同研究やインターンの受け入れも積極的に行っています。ご興味のある方は下記リンクをご覧ください。


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