組織の分化、統合、融合。“技術力のZOZO”が構想する、高速前進するエンジニア組織とは
革新的サービスと技術力を活かせるフィールドへの期待感
ZOZOに入社する以前は、ディー・エヌ・エーで、インフラの運用や自動化、Fluentdを用いたログ監視システムの開発やRailsアプリケーションの本番導入のための下周りの開発を担当していました。
一言でいえば、いわゆるWebエンジニアです。
そこからデータエンジニアリングを担当するようになり、分析用のWebアプリケーション開発、AWS、GCPを使ったAI基盤の構築などをおこなっていました。
振り返ってみると、領域を越境しながら幅広い業務を経験させていただき、とても貴重な時間を過ごさせてもらったと思います。
転職する意思決定をしたのは、エンジニアとしての幅を広げたいと考えたからです。まだ経験したことのない領域に飛び込んでみようと、転職を決めました。
具体的な転職先は決めていませんでしたが、BtoBの事業も経験してみたかったですし、トレンドのSaaSビジネスに携わるのも魅力的だと思っていました。経験したことのない環境に身を置くという意味では、外資系も選択肢の一つでしたね。
魅力的な企業が多い中、最終的にはZOZOに決めました。
転職軸のいずれにも当てはまっていないのですが(笑)、詳しく話を聞いたところ、自分の培ってきた経験や技術力をフル活用できると思いましたし、なにより革新的なサービスが生まれていくヴィジョナリーな土壌に強く興味を惹かれたからです。
当時、3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」のリリースや物流拠点の仕分け作業自動化など、革新的な取り組みがされていたので、飽きずに長く働けそうだなと思っていました。最終的には、「この先なにが起こるか分からない」という期待感に突き動かされたんです。ファッションに関わる膨大なデータを所有し、ZOZOにしかできない独自の技術で業界の未来を変えていけるという点にワクワクしました。
「技術力のZOZO」と呼ばれる日まで
現在は、VPoEとしてエンジニア組織を率いながら、技術本部 本部長として、全社技術戦略の策定、ZOZOTOWNのリプレイスプロジェクト、データ・MLの実サービス展開をメインの業務として担当しています。
ZOZOTOWNがリリースされたのは17年ほど前で、それから当時の技術スタックを生かしたまま成長してきました。
ZOZOTOWNサービス開始時は、Microsoft社が提供する言語VBScriptで主に開発されていました。当時はモダンな言語でしたし、これを拡張して、未経験からでもエンジニアリングに挑戦できる開発環境をつくっていたんですね。
そのおかげで不足していたエンジニアのリソースを補うことができ、なおかつメンバーがキャリアを広げていける環境が整っていました。すでに持っている専門性の枠を超え、組織と個人の双方が活性化する仕組みをつくっていたのです。
サービスの成長に伴い、今後さらに多くのお客様に使っていただく未来を検討するフェーズに突入していきました。そして、より創造的な取り組みをしていくには、リプレイスが必要不可欠だという判断から、2017年にリプレイスプロジェクトが発足しました。
しかし、これは簡単なことではありません。
古い技術をリプレイスするのは、新しい技術でサービスを構築するよりも難易度が高いのです。私の肌感覚ですが、ざっくり倍以上の難易度だと思っています。
現在プロジェクトは、2017年の開始から5年が経過し、ようやく折り返し地点にたどりついたところです。全体の設計方針としてクラウド化・マイクロサービス化・技術のモダン化という3点を掲げ、各チームでの施策が着々と進行しています。
長い道のりにあっても、ようやくゴールが見えてきた背景には、エンジニアの技術力の高さ、そして、エンジニア組織の結束力があります。
ZOZOのエンジニア組織は、グループ会社の設立やM&Aを通して採用を強化し、エンジニアが存分に力を発揮できる組織づくりに力を入れることで、少しずつ技術力を向上させ、ビジネス部門と連携してサービスを成長させてきました。
以前は、技術的な負債が多く、テックカンパニーと呼ぶには満たない点もあり、まだまだ発展途上な組織でした。エンジニアが転職を考えたときに、ZOZOを選択肢に入れてもらえる機会は少なかったと思います。
現在のZOZOは、求職者の方から「高い技術力を生かせる環境」として認識してもらっていて、転職先の候補として、技術に魅力がある会社と天秤にかけてもらえるようにもなりました。
現在では、年に一度、開発に関わる各チームが取り組んだ事例を役員に対してプレゼンテーションする「成果発表会」や、一つひとつの業務の背景や目的を記録に残していくドキュメント文化、フルリモートワークの推進など、エンジニアが活躍するための文化・制度も根付いています。
今では、自分たちを「テックカンパニーだ」と胸を張って言えるくらいに、高い技術力を持った組織になっていると自負しています。
エンジニア組織を束ねる立場として、これほどうれしいことはありませんし、ZOZOで働くことを選んでくれたスタッフのみなさんには、ZOZOでしかできない経験を提供しなければいけないと身が引き締まる思いです。
“BizDevOps”を体現し、組織としてのさらなる進化を目指す
ZOZOのエンジニア組織は、これからさらに大きく進化していく予定です。
2021年10月、ZOZOグループが展開するサービスの運用や技術開発を担っていたZOZOテクノロジーズのうち、テクノロジー研究開発以外の全事業部門がZOZOに集約されました。
ZOZOテクノロジーズは、ZOZOグループのテックカンパニー化を実現する本丸として立ち上がった会社です。それまで一体化していた開発部門とビジネス部門を分社化することで、それぞれをスピーディーに成長させる意図がありました。
現在は開発部門とビジネス部門双方の連携をより強固にし、事業のさらなる高速化によるサービスレベルの向上と、ZOZOグループの価値向上を目指すフェーズに入っています。
Biz(ビジネス)・Dev(開発)・Ops(運用)をおこなう3つのセクションが密に連携しあい、1つのゴールに向かっていく「BizDevOps」という言葉がありますが、まさにこの組織再編は、エンジニアが“技術者”の枠にとらわれず、またビジネス部門のスタッフが、技術と接点を持ちながら新たな価値をつくっていく挑戦が始まることを意味しています。
一般的に開発部門とビジネス部門は、共通言語が存在しないと思われている向きがありますが、それを超えていけるのがZOZOの強みです。
部門や職種が違えど、ZOZOのスタッフは、サービスを愛する気持ちやファッションを楽しむ気持ち、そして一緒に働くスタッフを思いやる気持ちが共通しています。これらは創業以来ずっと大切にしてきたカルチャーであり、それを失わない限り、新しい挑戦も成功させられるはずです。
これからの数年間は、ZOZOが「BizDevOps」を体現することで、さらに優れた組織になれるかが試される時間だと思っています。VPoEとしての責任を強く感じますし、私にとっても大きなチャレンジです。
強靭な結束こそが、サービスを成長させる
VPoEとして「高速前進」「骨太な組織」という2つのスローガンを掲げています。
まずは、高速前進について。組織を分社化したことで、技術力向上という目的を達成することはできましたが、ビジネス部門から仕事を請け負う、ある種の「受託関係」が生まれていました。
ここを解消することで、より効率的に開発を進める「高速前進」できる組織へと進化していきます。企画の担当者とエンジニアが一緒になってプロジェクトを進める、といったアクションも増えていく予定です。
骨太な組織というのは、個々のエンジニアにとって「当たり前にできる技術」の基準が高い組織を意味しています。「すごい、そんなことまでするの?」と思われるようなことを、ZOZOでは当たり前にやる。その意識を持ちながら技術力を高めていけば、ユーザーに価値を届けられるエンジニアの集まった組織になるはずです。
この2つを実行することで、今よりもさらにレベルの高いエンジニア組織をつくっていきます。
「どのような方を採用しているのですか?」と聞かれる機会も増えてきましたが、実はこれは以前と変わりません。組織再編以前から現在まで、同様の採用方針を掲げてきています。
ZOZOの運営する各サービスを愛していて、一緒に働くスタッフをリスペクトでき、ユーザーの立場になって考えられるか。これらなくして、一緒に働くことはしません。
私自身、ZOZO入社以来この数年間で、お互いをリスペクトする気持ちや、それによって生まれる結束が、組織を強くすることを身をもって感じました。
そして、そういった組織の結束こそが、個の技術力を高め、ひいてはサービス成長へつながることも知りました。だから、このスタンスがぶれることは、これから先もありません。
これに共感していただけるのであれば、ZOZOのエンジニアの一員として、企業理念である「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を実現していくことができると思っています。