DIY精神で“らしさ”を創り出す ZOZOのインハウスデザイナー
小さなバナーに運命を感じて
幼い頃から絵を描くことが好きで、高校では情報デザインを専攻し、総合大学の芸術学部でポスターやロゴなど商業広告を学び、グラフィックデザイナーを目指していました。
大学の課題に取り組んでいく中で、広告以外にも空間デザインや彫刻といった幅広いジャンルのクリエイティブに関心が強まるとともに、設定されたお題に応えたり、相手を喜ばせたりすることが得意だと気づきました。そのため、将来は、多くのクライアントを相手に幅広いアウトプットに関われる広告代理店や制作会社などで働きたいと考えていました。
そんな中で、想定していなかった業種とも言えるZOZOに応募したのは、中学時代からのヘビーユーザーで、ZOZOTOWNがとにかく好きだというシンプルな気持ちからでした。
当時から私は、ファッションが好きで、週末に自宅からほど近いショッピングスポットに出かけることを楽しみにする中学生でした。ところがある時、地方に引っ越すことになり、それまでのように、いつでも好きな洋服に出会うことは難しい環境になりました。
欲しい洋服に出会う方法を探した結果、ZOZOTOWNの存在を知り、母に頼んで初めてECサイトで洋服を買ってもらいました。それからは、休日にZOZOTOWNでのウィンドウショッピングを楽しむようになりました。気になったアイテムを見つけてはカートに入れて出してを繰り返したり(笑)、お気に入りのショップのアイテム一覧を1ページ目から最後のページまで隈なくチェックしていたのを覚えています。
そんな中学・高校時代を過ごしていたので、就職活動中、ZOZOTOWNで買い物をしていて、ふと「新卒採用募集」の小さなバナーを見つけた時には運命を感じました。調べてみると、ひと口にデザイナーと言っても、グラフィック以外にもいろいろな制作物をつくる役割があるということを知り、私にぴったりだと。すぐに応募を決めました。
一人ひとりが「ZOZOらしいデザイン」を考える
現在は、CI室でコーポレート関連のクリエイティブ制作を担当しています。スタッフの名刺、郵便封筒、社内イベントの制作物、採用Webサイト、会社で運営するブログ用の画像制作など、CI(コーポレート・アイデンティティ)に広く関わる部署です。
CI室の自事(※)は、「ZOZOらしさ」を感じ取ってデザインに落とし込むことです。それは、コーポレートカラーとロゴを使って、という単純なものではありません。一人ひとりのデザイナーが、自分なりにZOZOらしさをとらえて、デザインに反映させます。
正直、ZOZOらしいデザインとは何かという問いに、正解はないと思っています。あえて言語化するなら、「温かさを感じる」でしょうか。私にとっての温かさとは、「人の手でつくった跡を残すこと」です。他にない、ただ1つだけのものをつくるというのは、特に意識しているところですね。
また、CI室の自事は、PV数やクリック数など数値的な結果が得られるわけではありません。その代わり、社内のスタッフやその家族、地域の方など、身近な人に向けたコミュニケーションが主だからこそ、すぐに率直な感想をもらえます。一生懸命アイデアを練って作り上げた結果、社内で盛り上がっている様子を見聞きしたり、生の声を聞かせてもらったりする時が、一番やりがいを感じる時です。
コロナ禍でもつながりを感じる、世界に1つのカップ&ソーサー
入社してから一番記憶に残っているのは、新卒入社者へ贈る記念品制作です。ZOZOでは毎年、新卒入社したスタッフ全員にオリジナルの記念品をプレゼントしています。2021年は私が企画を担当し、カップ&ソーサーを作りました。
最初に人事からもらったお題は「コロナ禍でもつながりを感じられるもの」でしたので、会えない中でも共有できるものとして、「食」をテーマにしようと考えました。共に苦楽を分かち合うことを「同じ釜の飯を食う」って言いますよね。そこから着想を得て、ゆっくり会話を楽しみながら時間を共有できそうな、カップ&ソーサーにしました。
ポイントは、制作した38個それぞれが、新卒入社者の選んだ好きな色になっているところと、陶芸家さんに手づくりしてもらったところです。ZOZOらしい、手づくりの温かみを伝えたくて、プリントではなく手で色を塗ってほしい、ろくろを回してほしいと何社にもかけ合って、やっと引き受けてもらえました。
ZOZOでは創業時から、「DIY精神」という言葉が大切にされています。DIY(Do It Yourself)の言葉の通り、どんなものでも自分たちで作ってみようという意味です。私が大切にしている、人の手でつくった跡を残すということは、このDIY精神と通じていますね。
大変なことも「わいわい」しながら乗り越える
私の所属しているチームは、とにかく仲が良く、性別や年齢にかかわらず「わいわいしている」っていう表現がぴったりです。
例えば、ZOZO本社屋の建設中は、長さ27m×高さ3mほどの工事現場の仮囲いに、西千葉の街を手描きするというプロジェクトが発足しました。CI室が舵をとり、他部署のスタッフなどにも参加してもらって、汗をだらだらかきながら約2ヶ月かけて描いたのは良い思い出です(笑)。「大変そう。無理じゃない?」と言ってしまうようなことだったかもしれませんが、拳を突き上げるような勢いでスタートしましたね。どんな自事でも楽しんでやり遂げるところは、周りのみんなに共通しています。
学生の時にはZOZOTOWNというサービスが好きでしたが、入社してからはZOZOという会社、人、サービス、全てが好きになりました。その時々に応じて条件や課題があって、それをクリアしながら、これまでに見たことのないような、けれどもZOZOらしいデザインをしていく楽しさも身にしみて感じています。
将来的には、ZOZOにおける全てのデザインを経験して、ZOZOのデザイナーを突き詰めたいです。これからもチームの“わいわい”を大切にしながら、自分ならではのクリエイティブでいろんな挑戦をしていきたいと思っています。