つくりたいのは、プロダクトではなく未来。ZOZOエンジニアが実践する“動的な創造”
カルチャーとして根付く、想像と創造のDNA
私が学生だった頃は、VRやARといった技術が、アートやデザインに取り入れられ始めた時期です。メディアデザインを専攻していたので、いまだかつて誰も体験したことのない芸術表現が発表されていくさまを最前線で見ており、人間の創造性を拡張する試みに心を揺さぶられました。
そんな学生時代を経て新卒で入社したのは、広告メディアの企画・デザイン制作を主業務とする企業です。学生時代に自分の目で見た感動を「再現する側」になるべく、エンジニアとデザイナーを兼務する形でファーストキャリアをスタートしました。
その後、仕事以外の時間でWebサイトの制作やプログラミングを活用した制作活動に取り組む中で、エンジニアとしてのキャリアの広がりに可能性を見出すことができました。特に視覚表現を司るフロントエンド領域に興味を持ち、専門的なスキルを磨くためにキャリアを積んできました。
フロントエンドエンジニアとして一定のスキルを獲得した後、それを発揮する場所として選んだのがZOZOです。きっかけは、とある広告を目にしたことでした。
当時、メガベンチャーと称される企業群の中にあっても、ZOZOのクリエイティブには、他社にはない“尖り”がありました。それこそ、人間の想像性と創造性を拡張するようなメッセージやデザインを感じ取ることができ、「私が働くべき場所はここかもしれない」と直感したのです。
面接を受けてみると、その直感が間違いではなかったことがすぐに分かりました。人事やエンジニアと話をしてみても、業務の話よりも私という人間について興味を示してもらえたからです。
人間が持つクリエイティビティを大事にするカルチャーがスタッフを通して伝わってきたことで、直感が確信に変わりました。
売上とブランドづくりの二兎を追うエンジニアリング
私は現在、「ZOZOTOWN」に出店しているブランド様のブランディングをサポートする、ZOZOTOWN開発本部 ZOZOTOWN企画開発部のディレクターを務めています。ZOZOTOWNの特集ページや企画ページを通じて、ブランド様のブランドらしさを最大限に表現し、さらに売上を拡大する支援をするのが私たちのチームの役割です。
部署に所属するのは、フロントエンド領域に専門性を持ったエンジニアたちです。ブランド様のリクエストに応じ、社内のデザイナーと営業とチームを結成して、企画から一緒にブランドづくりをサポートしています。
ZOZOTOWN企画開発部の特徴は、売上に寄与しながら、それでいて数字では可視化できない「ブランドづくり」まで担っているところです。単に「つくるだけ」のエンジニアリングをすることはありません。
業務の流れの具体例としては、ブランド様のリクエストを受け取った営業チームと連携し、ブランド様の表現したい世界観をZOZOTOWN上でいかに表現するかを考えることがプロジェクトの起点です。
いわゆるエンジニアリングを飛び越えた業務に従事することも珍しくなく、過去にはモデルをアサインし、撮影に同行することもありました。
世界観をつくり込んだら、今度はデザイナーと協力し、ブランドイメージを表現するLPを制作します。
ただ商品を販売するページをつくるのでは「ZOZOTOWNである意味」がありません。特設LPを制作する際は、私たちらしく“想像と創造のDNA”を溶け込ませ、ブランド様だけではできなかったプロモーションを生み出すことを常に念頭に置いています。
さらに、ZOZOTOWN企画開発部の仕事は、ブランド様との提携だけに留まりません。オリジナルな社内企画のLPを制作するのも私たちの役割です。例えば、過去に実施した、ZOZOスタッフが推すブランドからアイテムをセレクトした24時間限定のショップ「24HOURS SHOP」の企画では、テーマだった「NEW MEETING PLACE」の場となるようなLP制作をリードしました。
こうした企画は、ただ売上をつくることだけを目指すのであれば非効率かもしれません。しかし、ファッションへの愛を表現するには、大きな意味があります。ブランド様のみならず、ZOZOTOWNというブランドの価値を高めていくのも、私たちの役割なんです。
スタッフ一丸で取り組む“価値倍増計画”
現在の開発部門は「ユーザーに届ける価値を2倍にする」という目標を掲げています。
当初は開発生産性を高めることを目指していました。そもそもなぜ開発生産性を高める必要があるのかというと、ユーザーへの提供価値を高めるためです。
掲げた目標を達成すべく、ZOZOTOWN企画開発部では、ブランド様がZOZOTOWN上でお客様に価値を訴求できる仕組みづくりに取り組んでいます。
これまでは開発工数の観点から、すべてのブランド様に対してオリジナルな企画を提案することができていませんでした。
この課題を打破すべく、エンジニアが開発にリソースを割かずともLPがつくれる体制構築を進めており、かつては月に数本しかリリースできなかった企画が、現在では10本以上リリースできるようになりました。
ZOZOTOWNを利用するお客様にとっては、これまで以上にオリジナルな企画ページがたくさんあるように見え、ZOZOTOWN上でもブランド様の世界観に触れながらお買い物を楽しむことができるようになっています。
以前はひとつのチームであったZOZOTOWN企画開発部が、私がブロック長に就任する形で部署として独立してから、ブランド様、そしてユーザーに提供できる価値が少しずつ大きくなっています。まだまだ完成系とはいえないものの、これからも体制を強化し続け、私たちの部門から「ユーザーに届ける価値を2倍にする」という目標の達成を牽引していくつもりです。
動的な創造が生む、創発の連鎖がある
ZOZOのエンジニア全般にもいえることですが、特にZOZOTOWN企画開発部で働く魅力は、専門性の異なる多様な職種と連携しながら仕事ができることです。
エンジニアならではというだけでなく、自分自身ならではのアイデアを、多様な職種から生み出されるクリエイティビティと融合していく過程には、ものづくりの醍醐味が凝縮されていると思います。
ZOZOでの仕事をひと言で表現するなら、“動的な創造”です。「ZOZOTOWN」は日本のファッションECを牽引してきた存在であり、今後もそうであり続けるためには、前例のないことでも、自ら働きかけ、アイデアを膨らませ、形にしていかなければなりません。
そのプロセスは複雑であり、ときに大変なのですが、それを実現していく日々は想像以上にアグレッシブで、ひとつの物語をつくっているようなやりがいがあります。
私はZOZOで働き始めてから6年が経ちますが、仕事に飽きを感じたことは一度もありません。その理由は、自分が動的な創造に携われているという実感があり、またすべてのスタッフがそうであることによる創発が生まれているからです。
技術力を身に付けるだけなら、働く場所はどこであってもいいと思います。ただ、「楽しく働く」を全力で体現する仲間とでしか創り出せない未来はきっとあるはずで、ZOZOはそれができる環境だと確信しています。
創造する職種であるエンジニアであるのなら、プロダクトをつくるだけでなく、未来をつくるという壮大なエンジニアリングに燃えるもの。少なくとも、私はそうです。
私たちがつくりたい未来は、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念。技術力の接続先を、プロダクトだけに留めたくないという意思があるのなら、ZOZOはきっと魅力的な職場になるはずです。